2回戦大将戦の感想 -姉帯さんの能力描写・「かわいい→こわい」の描写の2点-

アニメでの2回戦大将戦が終局した。
現状最初の第4話だけしか感想を書いていないし、興奮冷めやれぬうちに思いつくままに記したい。
とはいえ、文字通り「思いつくまま」だと「末原さんの喋って動く姿を堪能した!」「名言連発いただきました!!」「改造後末原さん、ちょーかわいいよー」「すばら!!」……etcとなりタイトルの内容に触れられないので、(前略)が100個くらい(前略)されています。

では、(前略)(前略)(前略)(前略)(前略)(前略)(前略)(前略)

ところで、姉帯さんが今回使った能力は三種類、原作通りの「友引」「先負」と今回追加された「先勝」だと考えられるものだろう。

特に描写が禍々しかったのが「友引」。

これは、姉帯さん自身的には宮守女子の仲間達と引き寄せあった回想と共に描かれたこともあって「吉」なことなのだが、原義は「葬式を行うと死者が友をあの世に引いていくとの俗説*1とある日。当てはめると「(死んでも)ぼっちじゃないよー」「(この世からあの世まで)友達がきたよー」なわけで、この禍々しさはこの「凶」の面を表しているのだろう。

「先負」の原義は本から引用。

・先負
「せんぷ」「せんぶ」「せんまけ」「さきまけ」などの読み方があるが、「せんまけ」が一般的。もともとは小吉・周吉といい、吉日であったが、現在では、何事も控えめにする日、急用や勝負事を避ける日、先に立って事を行うと不幸になる日、相手が仕掛けてくるのを待つのがよい日とされている。時間では、午前中は凶、午後は吉とされている。
岡田芳郎『暦のからくり』はまの出版、1999年、P109・110。

この文にあるように「相手が仕掛けてくるのを待つのがよい日」を活かした能力の設定であり、姉帯さんにとって能力発動時には「吉」だから、描写は光る感じなのではないか。

そして、オーラスで使用された能力。これは多くの方が指摘しているように「先勝」だろう。
とあるSS*2では「先負」の逆で「追っかけリーチされたらあがれる」といった予想で描かれ、それ以外でもこのような予想が多かったように思われるが、どうもそうではなさそうだ。こちらも先ほどの文献にあたってみる。

・先勝
「せんしょう」「せんかち」「さきかち」などと読まれているが、「せんかち」がもっともよく使われているようだ。先んずればすなわち勝つ、の意味で、早ければ吉、急げば幸運が舞い込んでくるとされている。暦の解説書ではどれも「急ぐることに吉」とあり、また、午前中は吉、午後は凶ともされ、訴訟事などは先手必勝となっている。この日は、何事も積極的に行動すべしということだろう。
岡田前掲書、P108・109。

姉帯さんやチームメイトの発言に「スピード重視、後半になると危険」「前半の内に決めないと」とあったのは、先勝の原義としての「早ければ吉、急げば幸運が舞い込んでくる」「午前中は吉、午後は凶」が反映された能力だということなのだろう。最短であがりに向かえば報われる的な…?*3
こちらは「凶が迫ってきている吉」なので禍々しさと光るのがまざった感じなのかなという印象。

以上が姉帯さんの能力描写からの考察。
旬なうちに何故姉帯さんが六曜を用いるのかの私見も書いてみたい……*4


もうひとつが咲さんの豹変ぶりを見ていて思い出したことをこじつけての感想。

「咲さん」とくれば「かわいい」とつながるのがテンプレなくらい*5、普段咲はかわいく描写されている。
アニメ視聴時に、「そういえば大学での講義で「かわいい」について論じられていたことがあったな」と思い出した。それを以下に引用。

小さなもの、どこかしら懐かしく感じられるもの、守ってあげないとたやすく壊れてしまうかもしれないほど脆弱で儚げなもの。どこかしらロマンティックで人をあてどない夢想の世界へと連れ去ってしまう力をもったもの。愛らしく、綺麗なもの。眺めているだけで愛くるしく感情で心がいっぱいになってしまうもの。不思議なもの。たやすく手が届くところにありながらも、どこかに謎を秘めたもの。
四方田犬彦『「かわいい」論』筑摩書房、2006年、P15。

うん、あてはまるな(確信)
この講義を担当していた教授によると、「かわいい」という概念は、「悲劇によって得るカタルシス」の対抗装置なのだそう。*6
つまり、普段「かわいい」咲のキャラクターが「ちょーこわい」になる時、それが「悲劇(相手にとっての)」の始まりだといえそう、そもそもこんな定義をもってきてまで指摘することでもないかもだけど。
要は、連載での準決勝大将戦で咲さん目線が描かれるなら、末原さんの「ちょーこわい」姿が見れるのかも!!という妄想しちゃったけど期待していいよね!?という感想。

いやー、あの改造後のちょーかわいい末原さんが目を赤光りさせて蹂躙するとか妄想するだけでぞくぞくすr(後略)(後略)(後略)(後略)

*1:岡田芳郎『暦を知る事典』東京堂出版、2006年、P117。

*2:http://sssakich.blog.jp/archives/30835372.html

*3:具体的な麻雀への落とし込みは、私が麻雀に詳しくないので、どなたかの考察にお任せします…

*4:「南部絵暦」に手がかりを感じています……

*5:この流れは『咲-Saki-』 「咲さんかわいい!」→「コモンセンスだよ~」の流れはこうして作られた…ネタ歴史ヒストリア - ToLOVEる☆LOVEに詳しい

*6:これだけではわかりにくいですよね…、成績Dだった科目なので勘弁してください……